訪問診療の求人やクリニック紹介を見ると、「24時間365日対応」という言葉を目にすることがあります。
在宅医療に馴染みのない医師の中には、
- 本当に24時間ずっと電話が鳴るのか
- 毎日夜中に往診しているのか
- 医師の負担は大きいのか
と疑問に感じる方もいるでしょう。
実際には、24時間対応とは「患者や家族が夜間・休日を含めていつでも医療機関へ相談できる体制」を指します。
必ずしも1人の医師が24時間働き続けるわけではありません。
なぜ24時間対応が必要なのか
訪問診療の対象となる患者さんは、
- がん終末期患者
- 心不全患者
- COPD患者
- 神経難病患者
- 高齢で通院困難な患者
などが中心です。
これらの患者さんは夜間や休日にも容体が変化する可能性があります。
例えば、
- 発熱
- 呼吸苦
- 疼痛増悪
- 転倒
- 尿閉
- 意識レベル低下
などが突然発生します。
その際に相談先がなければ、不必要な救急搬送や入院につながることがあります。
24時間対応体制は、患者が住み慣れた場所で安心して療養を続けるための重要な仕組みです。
患者層やクリニックの規模によって異なりますが、夜間の電話対応や往診が毎日発生するわけではありません。
特に、
- 施設中心
- 終末期患者が少ない
- 複数医師で当番制
のクリニックでは負担が比較的軽いこともあります。
一方で、
- がん終末期患者が多い
- 在宅看取り件数が多い
- 居宅患者中心
の場合は夜間対応が増える傾向があります。
夜間によくあるコール内容
発熱
最も頻度の高い相談の一つです。
施設スタッフや家族から連絡が入り、症状やバイタルを確認しながら対応を判断します。
呼吸苦
心不全や肺炎、終末期患者でよくみられます。
酸素投与や薬剤調整で経過観察できる場合もありますが、緊急往診が必要になることもあります。
疼痛コントロール
がん終末期患者では疼痛増悪による相談が少なくありません。
オピオイドの追加指示やレスキュー薬の調整を行います。
看取り対応
訪問診療における24時間対応の大きな役割の一つです。
夜間や休日に患者さんが亡くなられた場合、医師が往診し死亡確認を行います。
24時間対応のメリット
患者・家族の安心感
「何かあればいつでも相談できる」という安心感は在宅療養を支える重要な要素です。
救急搬送の減少
電話対応や臨時往診によって、自宅や施設で解決できるケースが少なくありません。
結果として不要な救急受診を減らすことができます。
在宅看取りを支えられる
人生の最終段階を自宅で過ごしたいという患者さんや家族の希望を実現するためには、24時間対応体制が欠かせません。
24時間対応の負担は施設によって大きく異なります。
求人を見る際は以下を確認しましょう。
- オンコールは当番制か
- 主治医制かチーム制か
- 夜間電話件数
- 夜間往診件数
- 看取り件数
- ファーストコールは看護師か医師か
- オンコール手当の有無
同じ「24時間対応あり」の求人でも、実際の負担は大きく異なることがあります。
訪問診療における24時間対応は、患者や家族が安心して在宅療養を続けるための重要な仕組みです。
電話相談だけで済むケースも多く、必ずしも頻繁な夜間往診が発生するわけではありません。
一方で、看取りや急変対応など在宅医療ならではの役割も担っています。
訪問診療を検討している医師は、「24時間対応あり」という言葉だけで判断するのではなく、実際のオンコール体制や夜間対応件数まで確認することが大切です。