訪問診療では便秘は非常によく遭遇する症状です。
- 「3日出ていない」
- 「毎日出ているが残便感がある」
- 「摘便しないと出ない」
- 「便秘で食欲がない」
といった相談は日常的にあります。
便秘は単なる排便トラブルではなく、
- 食欲低下
- 腹痛
- 嘔吐
- せん妄
- 誤嚥性肺炎
- 腸閉塞
の原因となることもあります。
そのため訪問診療では早期介入が重要です。
高齢者で多い原因
# まずは便秘の原因を確認する
処方前に原因を評価します。
活動量低下
寝たきりや車椅子生活では腸管運動が低下します。
水分摂取不足
高齢者は口渇感が低下しており慢性的な脱水状態になりやすいです。
食事量低下
低栄養では便の量自体が減少します。
薬剤性
訪問診療で頻度が高いもの
- オピオイド
- 抗コリン薬
- 抗精神病薬
- Ca拮抗薬
- 鉄剤
# まず確認したいポイント
- 最終排便日
- 排便回数
- 便の硬さ
- 腹痛の有無
- 嘔吐の有無
- 血便の有無
- 排ガスの有無
以下があれば腸閉塞などを疑います。
- 強い腹痛
- 腹部膨満
- 嘔吐
- 排ガス停止
- 発熱
# 訪問診療での便秘治療の基本
近年の便秘診療では、
「まず酸化マグネシウム」ではなく患者ごとに病態を考える
方向に変わっています。
# 第一選択になりやすい薬
特徴
便を柔らかくする薬です。
処方例
酸化マグネシウム 330mg
1回2錠
1日3回毎食後
注意
腎機能低下患者では高Mg血症に注意します。
特に
- eGFR<30
- CKD G4〜G5
では慎重投与です。
センノシド(プルゼニド)
# 刺激性下剤
特徴
腸を直接刺激します。
処方例
センノシド 12mg
就寝前1〜2錠
注意
連用で耐性が問題になることがあります。
毎日使用よりレスキュー使用が理想です。
処方例
5〜15滴
就寝前
高齢者施設でもよく使われています。
# 浸透圧性下剤
高齢者や認知症患者で使いやすい薬です。
近年使用頻度が増えています。
メリット
- 腹痛が少ない
- 長期使用可能
- エビデンスが豊富
処方例
モビコール1〜2包
1日1〜2回
# 上皮機能変容薬
近年の慢性便秘治療の主力です。
特徴
腸管への水分分泌を促進
注意
悪心が多い
特徴
慢性便秘症で有効
注意
下痢
# オピオイド便秘には特殊な対応が必要
がん患者や緩和ケア患者では非常に重要です。
通常の下剤だけでは改善しないことがあります。
処方例
0.2mg
1日1回
特徴
オピオイドの鎮痛効果を落とさず便秘のみ改善します。
オピオイド開始時から併用することもあります。
軽症便秘
# 訪問診療でよくある処方パターン
- 酸化マグネシウム
- モビコール
- 酸化マグネシウム
- モビコール
- センノシド頓用
- スインプロイク
- モビコール
# 在宅でよく行うレスキュー対応
まず
- ラキソベロン
- センノシド
を追加します。
- グリセリン浣腸
を検討します。
在宅ではしばしば遭遇します。
- 摘便
- 浣腸
が必要になることがあります。
# 家族への説明
便秘は放置すると、
- 食欲低下
- 不穏
- せん妄
- 誤嚥
- 腸閉塞
につながることがあります。
「毎日出ること」ではなく、
苦痛なく適度な硬さの便が定期的に出ること
を目標にしましょう。
# まとめ
訪問診療の便秘治療では、
まず
- 脱水
- 活動量低下
- 薬剤
- オピオイド使用
を確認します。
実践的には、
1. 酸化マグネシウム
2. モビコール
3. ラキソベロン・センノシド(レスキュー)
4. オピオイド使用時はスインプロイク
がよく用いられます。
単に下剤を追加するのではなく、生活背景や原因を評価しながら治療を行うことが、訪問診療における便秘管理のポイントです。